早く帰らないと…!!
大地は急いでいた。
今日は放課後に塾があり、授業を受けていた。
祐樹・早苗・山城とも同じ授業を受けていたのだが、あいつらは授業そっちのけでずっとあの行方不明事件について話あっていた。
会話に聞き耳をたてると、『光ちゃんが消えた公園はね、昔から神隠しが多いらしくてね、何人もの子供があの公園で行方不明になってるらしいわよ』などという話をしていた。
そんな馬鹿な話があるか。
たまたまだろう。
そう思い大地は授業に集中することにした。
―授業終了後、いつの間にか自分を置いて帰ってしまった3人に腹を立てながら一人自習をしていた大地は、時計が9時40分を指していることに驚き、塾を飛び出し家に急いだ。
大地の家の門限は10時。
普通に帰っても確実に10時は過ぎ、怒られてしまう。
今月に入って2回も門限破っているし、今日も破るとヤバいな…。
そう思い、何とか速く帰れないか考えていると右に公園が見えた。
この公園は広いが木が多く、昼間でも不気味だ。
こんな遅い時間にしかも一人でなど、普段の大地では絶対に通らない道だ。
しかしこの公園を通ると、大幅に時間が短縮できる。
何より今は急いでいる。
公園を通り抜けるのに必要な時間はせいぜい5~6分。
『5~6分位なら大丈夫か』