【麗side】


体育館へ向かって歩き始めた時だった。


「れーい」


廊下の向こう側から聞き慣れた、でも何処か懐かしい声が聞こえた。
俺はそちらへ顔を向ける。瞳は反射的に睨んでいた。

俺が睨んだ先には、光輝が立っていた。
前まではクラスメイト。そして今は黒で『敵』の光輝が、同じく黒の翔也と拓斗を連れていた。

「光輝……」
「よお、女子と一緒でどーしたのぉ? もしかして白の男子に捨てられちゃったとか? 早々ハブり開始なのかよ白はよぉー」

光輝は馬鹿みたいに爆笑した。ムカつく。その笑い声がムカつく。俺は元々光輝とは仲が良くなかった。寧ろ犬猿だ。憎悪すらある。こいつとは馬が合わないのだ。

いや、待て……此処はクールになれ。和解しろ。
大吾達が待ってんだ。早く移動しよう。

俺は先頭を切り、女子を引き連れて光輝の所まで歩いて行った。