「奈々さんっていくつなんですか?」


「今年ハタチ。葵さんは?」


「俺もハタチ!タメっすね!」


「そうなんですか?年上と思ってました」


「俺もー!」


葵は私とそれほど身長が変わらないせいか、親近感の湧く存在だった。



鉄の扉を開けて中に入ると、保っちゃんが既にキッチンにいて丸椅子に座って新聞を読んでいた。


見た目、ラーメン屋の頑固おやじにしか見えない。


「保っちゃん、こんにちは」


「久しぶりです、奈々さん」



挨拶すると新聞から顔をあげてにやりと口角を上げた保っちゃん。


葵は「じゃあ、お掃除してきまーす」と言いながらホールに出て行った。