「奈々、今日から振り付けるからねー?」


「えっ?!こんな時間から!?」


「奈々先輩振り付けだって!私見て帰ろうかな」


「私も!」


「先輩今度金平糖の精踊るんだよねー」


はぁ…バーレッスンだけして帰ろうと思ってたけど甘かったか…



「まぁ、奈々のことだから?もう既に予習はしてあると思うけど?」


「あ…あは…」


貸してもらったビデオ一回みただけです、先生。


なんて言えず、私は愛想笑いを返した。


3歳からバレエをはじめ、17年。


三ヶ月後に控えた公演でくるみ割り人形を踊ることになっていた。


私はその中で金平糖の精という役をもらっていた。


実はくるみ割り人形に出た経験は何度かある。


4年に一度くるみ割り人形を公演で行っているため、四歳のときから数えて今回で五回目のくるみ割り人形だった。