舞姫〜貧乏バレリーナのシンデレラストーリー〜

「奈々、ちょっとここで待ってて。涼介呼んでくるから」


「あ、はい」


怜音がキッチンスタッフに声をかけ、その場を去った後、私は保っちゃんとその他のスタッフにじっと見られて、カチカチに固まってしまっていた。


「奈々さん、久しぶりです」


「涼介さん」


怜音とともに涼介がキッチンに入ってきて、手には大きな封筒を持っていた。


「保っちゃん、こっちのスペースちょっと貸して」


「はい」


怜音がそう言って返事をしたのはやはりスキンヘッドの男だった。


やっぱり…!


あの人が保っちゃんなんだ!


キッチンの端の方で、涼介が用意してくれた丸椅子に腰かけた。


「今日は…気持ち固めてくれたってことで、いいんですか?」


涼介さんは私と怜音を交互に見ながら、封筒の中身を取り出した。


「あ…はい!よろしくお願いします」


私がそう言うと、怜音も涼介も微笑んでくれた。