舞姫〜貧乏バレリーナのシンデレラストーリー〜

「奈々」



「わ!」



後ろから顔を覗かれて、思わず声が出てしまった。


涼介さんが来ると思っていた迎えに、怜音が来てくれたので、それにもびっくりした。



「早い…ですね」


「うん。店すぐそこ」


「あ…あれ?そうだったっけ…」


「頑張って覚えろよ?」


そう言って頭をポンポンして、怜音は微笑んだ。


本当に綺麗な顔をしてる。


怜音の顔に見とれていたら、周りがじっと私たちを見ていることに気がついた。


「すごく見られてますよ」


「そう?まあ。いつものことだから」


行こうか?と言って怜音は私の先を歩いた。


この前は昼だったから、人もまばらだったけれど、夜のこの街は人だらけ。


怜音の後ろを歩く私は、視線の矢が体中に刺さっているようで、早く店に着きたかった。