舞姫〜貧乏バレリーナのシンデレラストーリー〜

「奈々、お疲れ様」


「お疲れ様です…」


くららはにたっと笑いながらパーテーションの奥に入っていった。


なんかものすごく見下された感があるんですけど…


まぁいいか。


あんまり絡むとろくなことないし。


そんなことを考えながら私はイヤホンで金平糖の踊りを聞きながら昨日の振り付けを復習していた。


やっぱり、トウシューズ買った方がいいのかな。


足の甲をしっかり支えるには新しいシューズの方がよさそうだ。


公演までにそのシューズにも慣れないといけないし、やっぱり買うなら今だよね。


鏡に写った自分のトウシューズを見て、ため息をついた。


確かに、あまり美しいとは言えない色だし、ところどころ痛んではげてしまっている。



思えばもうこのシューズを買ってから二年は経っている。


それに、昨日バレエショップに行ったときショーウィンドウにディスプレイされてたレッスン着、可愛かったもんなぁ…


見てしまうと欲しくなっちゃうんだよなぁ…



でもこのマネーピンチにそんなもの買ってる余裕なんてない!



ある意味禁欲生活だ…