舞姫〜貧乏バレリーナのシンデレラストーリー〜

「奈々、なんかいいことあった?」


「それ、さっき先生にも言われた。なんで?」


「なんか、そんな感じがする」


「ふーん」


てっちゃんにホストクラブでのバイトのことは言わない方がいいよね。


今のバイト辞めたって言っただけで責任感じそうで、それが嫌だった。


「こんばんはぁ」


甲高い声の持ち主はもちろんくらら。これからてっちゃんとレッスンのためやってきたのだ。


普段は午前中に振り付けやレッスンを行ってるみたいだけど。


「パドドゥのレッスン終わった?」


「終わったけど、ちょっと休憩する。その間に柔軟とバー終わらせといて」



てっちゃんはくららにそう言いながらペットボトルの水を持って奥に引っ込んでいった。