舞姫〜貧乏バレリーナのシンデレラストーリー〜

「怜音さーん!!」



『怜音』という響きに聞きおぼえがあり、私は振り向いた。


見ると向こうの方で黒髪の青い瞳が叫んでいた。


ああ、やっぱりあの人たちこの辺のホストなんだ。


そう思ってまた来た道を引き返そうと思ったら、目の前を横切った人と衝突してしまった。


「「すみませ・・」」



2人の謝る声が重なって私は思わず視線を上げた。


「「あ」」


私たちはお互いを指さして、同じ反応を示した。



遠くの方で「怜音さーん」という黒髪の声が聞こえている。


「あなた、呼ばれてますよ」


「うん、知ってる。今逃げてるの」


「どうして?」


「うん、まぁ、いろいろあって」


私がぶつかったのはミルクティー色だった。


黒髪の男に怜音と呼ばれる男。