舞姫〜貧乏バレリーナのシンデレラストーリー〜

バレリーナとしての給料は本当にわずかしかない。



ソリストからファーストソリストになれればもう少し上がるのかもしれないけれど、てっちゃんもまだバイトを続けているということはそれほど変わらないということを物語っていた。



このまま、閉店まで働いて、それからレッスンするしかないと思いながら、今日もフルーツを切る。



ため息をつきながら振り返ると、あくびをしながら私の前を昨日も見たホストらしき人が通って行った。


黒髪で、青い目をした男。



今日は一人だ。



少し目でその姿を追いかけていると、急にその男は振り返り、ちょっと背伸びをして自分の歩いてきた方を見る。


私も彼の視線を追いかけると、他の客にまじって、ひときわ目立つミルクティー色の頭が見えた。


その髪の色のせいか、すぐにその存在を確認できた。