舞姫〜貧乏バレリーナのシンデレラストーリー〜

翌日、午後からバイトへ行き人事の人になるべく午前のシフトに変えてほしいと頼んだら、案の定いやな顔をされた。


デパートの食品売り場の書き入れ時は夕方からだ。


平日の午前中などは客が少なく、社員で十分対応可能なため、バイトもとくに必要ない(とくに、私の働いている果物屋などは)。



「まあ、希望としては聞いておくけど、時給は今までよりも少ないよ。午前中って言ったら、10時からだから、そんな長い時間働けないんでしょ?それはちょっと困るんだよね。こっちとしても」



「はい…」



世の中、そんなにうまくはいかない。



私のようなバイトはすぐに見つかるし、働けないバイトを抱えていたって、雇用側としてはまったく利益はない。



だからと言って私はすぐに「そうですか、じゃあ辞めます」と言えるほど、金持ちでもないし、今このバイトがなくなるのはかなり痛い。


新しいバイトを探している時間は、今の私にはなかった。