舞姫〜貧乏バレリーナのシンデレラストーリー〜

「奈々さん、フルーツお願いします!」


「あ、はぁい!」


もちろんフルーツもいっぱい出る。保っちゃんは元々料理人(イタリアンシェフなんだけど、料理人の方がしっくりくる)だから、私のしていた飾り切りをすぐにマスターして、今や2人で超大作を作り上げる。



私と保っちゃんは、それを楽しんでいた。



「保っちゃん、私ちょっとお手洗い行ってきます」



「はい、いってらっしゃい」


トイレは厨房を出て、ホールに行くまでの場所にある。


その間、少しだけホールの様子をうかがうことができる。


でもあんまりこういうところで女子が働いていることがわかると、後々まずいことになりかねないから、さっと通るように涼介に言われていた。