舞姫〜貧乏バレリーナのシンデレラストーリー〜

「それでバターが溶け終わったら、少し火を強くする。そこにたまご投入!」


ジュワーっと卵を注いだところで、『ミーティングですよー』と涼介の声が聞こえてきた。



「あああ!時間!」



私がそう言ってあせっていると、怜音が私の後ろから腕を回し、フライパンを持っている私の手に手を重ねた。



「そのままにしてたら焦げるから。かき回して。半熟のまま少し火からフライパンを離す。そんで箸で、向こう側にたまご寄せてみ」



「う、うん」



「涼介ー!あと1分待ってー!」



怜音は大声でホールの方へ向ってそう言い、向こうから『はーい!』と涼介の声が返ってきた。