舞姫〜貧乏バレリーナのシンデレラストーリー〜

「まぁ、そうですけど…こんなオムレツとか、洋食料理店のシェフ並みにうまいですよね」



「まぁね。あ、奈々、混ぜる前に牛乳入れて。殻取れた?」


「・・・見てないことにしといてくれたらいいのに」


話をしながらも怜音は私の行動をチェックしていたようだ。


間抜けなところを見られてしまった。


怜音に言われた量の牛乳をボールに注ぎ、それから塩コショウで味を調えた。



「フライパンにバターを敷く。焦がすなよ。弱火から中火くらいで」



「量は?これくらい?」



「ああ。あんまり入れすぎると、くどくなるからな」



バターをフライパンに敷くと、ジュッといい音がして、一瞬にして厨房にいい香りが広がった。