舞姫〜貧乏バレリーナのシンデレラストーリー〜

「いつも月曜日に入っていただいて、助かります」


「え?月曜日って忙しいんですか?」


「金曜日の次に。休日をはさみますから、太客は休み明けに結構くるんで」


「ああ…そうなんだ…」


昨日の夜、怜音のケータイに電話が入ったことを思い出した。


休日に指名のホストに電話して、『明日店に来て』なんて言われたら、太客は来ちゃうものなんだろう。



「おはよー、今日もよろしく」


厨房に顔を出したのはヘアセットを終えた怜音。


つま先のとんがった靴をカツカツと鳴らしながら、厨房に入ってきて一人ひとり声をかける。


最後に一番奥にいた私の隣に立ち、『やる?』と首を傾げた。