舞姫〜貧乏バレリーナのシンデレラストーリー〜

「じゃあな。また明日」



「うん、じゃあ」



駅で短い挨拶を交わした後、私たちはそれぞれホームに続く階段を上った。


私が階段を上り切ったら、ちょうどてっちゃんもホームについたところだった。


私が立ち止まると、てっちゃんも立ち止まり、真正面に対峙するかたちになった。


ジーパンのポケットに両手を突っ込んで、無表情で私を見ている。


首を傾げててっちゃんを見る。


一瞬変顔をしたてっちゃんに、ぷっと吹きだしてしまって、あわてて口をふさいだ。


ホームには終電を待つひとが結構いて、私は周りのひとに変な眼で見られてしまった。



思わずてっちゃんを睨むと、「ばーか」と口が動いたので、むっと頬を膨らませると、てっちゃんはふっと笑って私に手を振った。



するとてっちゃんの方のホームに電車が滑り込んできたので私も手を振り返した。