舞姫〜貧乏バレリーナのシンデレラストーリー〜

大きな公演で私たち若手が主役を演じるのはなかなかないことで、今度の公演がてっちゃんにとっても私にとっても、バレリーナとしてのチャンスだということは私にもわかっていた。


上には上がいて、うちの団員にもプリンシパルとして君臨する人が何人かいる。



フリーで活躍しているバレリーナをゲストプリンシパルとして出演してもらうこともあるから、私たちはいつも脇役。



よくて準主役までしかもらえない。



「2人とも、ストイックなのはいいけれど、怪我だけは注意してね?」


「はい」



バレエは芸術。



そしてスポーツ。



舞台上では格闘技。



私の頭の中ではそんなイメージだった。



怪我だってつきもので、私も足をひねったりすることはしょっちゅうだった。