「れ、怜音!」


思わずそう叫んでみたものの、そのあとに続く言葉が見つからない。


怜音はゆっくり振り向いて、ふっと笑ってから手を振った。



「また、電話する。バレエ頑張れよ」



そう言って階段を下りて行ってしまった。



こんなに胸がいっぱいになったのはいつ振りだろう。



ずっとバレエばかりしてきた私にとって、怜音のような存在は新鮮な存在だった。