夢幻(むげん)【完結】


 本来なら聞こえなくても不思議ではない大きさだった。

 しかし、遼平には届いた様だ。


「……は……るか」


 振り返った遼平の目に映ったのは目に涙を溜めた遥だった。


「遼平……今……キスしてた……?」

「っ!!」


 その言葉にキスされたところを見られていた事を知る。


「遥、あれは……」

「言い訳なんか聞きたくない!!」


 遥は走りだした。

 来た道を引き返す。