夢幻(むげん)【完結】


「待て!! 待ってくれ、遥!!」


 遼平の声が聞こえるが、思いが遼平と話すことを拒否していた。

 夢中で走った。

 だから、気がつかなかった。

 道路に飛び出していたなんて……。


「危ない!!」


 遼平の焦った声が聞こえた瞬間、車がすぐ側まで迫っている事に気が付いた。

 逃げる余裕もなかった。




 キキキキー




 ドンッ




 車にひかれたところで、遥の記憶が途切れた。