夢幻(むげん)【完結】


「遼平……今……キスしてた……?」

「っ!!」


 遼平は声も出ないほど、驚いていた。

 遼平の反応で、先ほどの出来事が、真実であるとわかった。


「遥、あれは……」


 遼平が何か言おうとしていたが、聞きたくなかった。

 頭では、遼平は理由もなくあんなことをする人ではないし、裏切るはずがないとわかっていた。

 でも、感情がついていかなかった。


「言い訳なんか聞きたくない!!」


 兎に角、あの場から離れたかった。

 来た道を走った。