夢幻(むげん)【完結】


「えっ」


 思わず声が出てしまったが、遼平達は気がつかなかった。

 そして、相田先輩は、去って行った。


 ウソ……、遼平が相田先輩とキスした……?

 見間違いだよね。きっと!



「……りょう……へい……」



 小さな声で遼平の名前を呼んだ。

 その瞬間、みるみると涙が目に溜まり、遼平の姿がにじんだ。



「……は……るか」



 本当に小さな声だったが、遼平には届いたようだ。