夢幻(むげん)【完結】





 まるで自らの意志で目覚めるのを拒否しているようだった。




 あの時のことを思うと、遼平はいつも後悔の念にかられた。




 あの日、遥を家に呼ぶのではなく、出かけていれば……

 あの日、遥と相田が家に来る時間が違っていたなら……

 あの時、相田のキスを避けることができていれば……

 あの時、遥に追いついていれば……




 過去は変えられないが、「もし、あの時……であったなら」という考えばかりが、頭の中に浮かんでいた。