「そっかぁ、多恵ちゃんも俺のこと好きかぁ。」


 意地悪く微笑みながら、しつこく私をからかう。


 私は反撃に出た。


「うん、入学式からずっと。」


 どさくさ紛れに告白してやって、有坂くんを困らせてやろうと思った。


 胸のドキドキにも負けず、有坂くんを真っ直ぐ見詰めた。


 有坂くんは、一瞬言葉を失って、再び目をまん丸にして私を見た。


 私の作戦、成功? と思いきや、


「すっげぇ~、俺、ロングラン。」


 有坂くんは、全く動じることなく、意味不明の言葉を呟き、


「おやすみ。もう俺の可愛い寝顔、見せてやんない。」


 と、今度はちゃんと窓の方へ顔を向け、再び眠りについた。


 もちろん腕枕も忘れない。