『私が答えられる範囲内なら。』


「ありがとう。
どうしてみんな仁を避けるの?」


『…えっ…』


大凡の検討はついてたけど、ここまで直球にくると答えづらい。


「仁も避けてるんだよね… なんか目立つのが嫌いみたいで。
未だに一緒に登校してくれないし。」


口を尖らせ話す葉瑠。
私より身長が低い彼女は、そんな表情をよくする。
殆どが緒方の話をしてる時だけど、可愛い過ぎて時々イジメたくなる。
 子供をあやすように髪を撫で、曇った空を見上げ言った。


『みんながみんな嫌いな訳じゃないと思うよ?
ただ、みんな緒方と同じ括りにされるのがイヤなんだと思う。
それは外見のせいもあるけど、ほら、緒方ってあんまり喋らないじゃない?』


「うん。」


『そばで緒方をみてる葉瑠には普通に思えるかもしれないけど、みんなからしたら緒方は取っ付きにくいんだと思う。』


「そっか…」


『だから、笑いなさい!』


「うぅっ」


葉瑠のホッペタを両手で引っ張ると、無理矢理笑顔にした。


「いたい…」


上目で見てくる葉瑠は、ニヤっと笑うと私のホッペを引っ張り『お返し』と言った。