─翌朝、早起きして、お母さんに教えてもらいながら、アイツのお弁当を作った。
自分のは母さんに任せて、失敗しながらだけどなんとか出来たお弁当。
お母さんのに比べたら、お世辞にも美味しそうとは言えないけれど、喜んでくれるといいな。


『行ってきまーす!』


二人分のお弁当をバックに隠し、家を出た。
いつもより体が軽く、足が軽やかに進んでく。
暫くして葉瑠の姿を見つけた。


『あ、葉瑠おはよう!
今日は天気がいいねぇ』


「え…? 曇ってるけど…。綾は朝から元気だね。」


『葉瑠がテンション低すぎるんだよ。
また緒方と何かあったの?』


「なにもないよ?
ただ、毎日が普通過ぎてちょっとつまらない感じ。仁にたくさん好き!好き!って表現しても反応薄くて…」


どんな表現してるんだろ?
素直が取り柄の葉瑠の考えてる事は、未だに理解できない事が多いけど、その素直さが羨ましい。
緒方を好きになった時点で私には理解不能だけど。


『何回もこんな事聞いてごめんね? 葉瑠は、緒方のどこに惚れたの?』


「よくわかんない。
初めはね、ただ気になって仁の後をついていっただけだったの。
でも、話してたらって言うか気づいたら好きになってた。
あ!そうだ私、未だに分からないことがあるんだけど、教えてくれる?」