「嘘じゃないよ。
ずっと、こうしたかった」


『じゃあ、叶ったんだ。』


「全てじゃないけどな!」


微笑しふぅーと息を吐くと、私の目を真っ直ぐ見た。


「今から言うことは、全部本当の事だから。」


『うん』


まだ完全に意識がハッキリしてる訳じゃないけど、水樹の言葉を信じてみようと思った。


「…俺、綾が好きだ。
綾が俺を嫌いでも、俺はずっと好きだから。」


『それって、告白?』


「告白。 返事はいいから、嫌われてるっ分かった上で言った事だから。」


顔を背け、俯く横顔が涙で滲んだ。


『ちゃんと聞いてよ、告白の返事。』


「聞きたくないって、わかりきってる答え聞いてどうすんだよ。」


『ダメだよ、ちゃんと最後まで聞かなきゃ…
“ホントは、水樹が好き。”そう言うつもりだったんだのに』


「…嘘」


『じゃないよ。
気づいたら好きになってた、認めたくなくてずっと嫌いって言ってたんだもん』


「ややこしい性格。」


『水樹には言われたくない』


「ごめん。」


顔を見合わせ笑った後、恋人になって初めてのキスをした。
お姫様に掛けられた魔法を解くみたいに、優しく溶けるようなキス。