「大して可愛くないくせに、水樹くんに近づこうとしてんじゃねぇよ!!」


ガンッと壁を蹴る音に、反射的に体がビクついた。
それでも何も喋らない私に、イラッとしたのか、急に顎を持ち上げられた。ゴンっと壁に頭を打ち付けた時の鈍い音が聞こえた。


「黙ってないでなんか言えよ!」


『なんか…私はアイツとは何の関わりもありません。』


「何の関わりも無かったら、一緒に弁当食べんのかよ!」


『どうして嫌いな奴と一緒に食べなきゃ行けないんですか?』


「こっちが質問してんだよ!! 訳わかんねえ事言ってねぇでさっさと答えろ!」


『ちゃんと答えてるじゃん…嫌いだって。
私が意地張ったせいで、色んな人に迷惑掛けちゃって…ホントは水樹が─』


「ストーップ。」


突然聞こえた停止命令に、女子が一斉に下がった。何が起こったのか理解できずに、足から崩れ落ちた。
終わった。
その事だけは理解した。正直凄く怖かった、ジンジンと地味に痛む頭が、現実だよ。と知らせ続けてた。
溢れる涙で地面が滲む。
何より分からないのが、さっきまであんなに脅してきた彼女達が口々に「緊張したぁ」と言ってたこと。