─お昼を告げるチャイムに、時計を見上げため息をついた。
葉瑠の姿は既にない。
机に掛けた袋を持ち、朝より重たい足を動かし、なんとか保健室まで辿りついた。
ノブに手を掛け、開けるのを躊躇った瞬間、勢いよくドアが引いた。


「よおっ!」


そこには満面の笑みを浮かべるアイツがいた。


『ビックリした…』


「悪い。」


『…一応、作って来たけど。』


大人しくベッドに腰掛けるアイツに、お弁当を渡した。


「ウマそう!」


早速開けて眺める横で、自分もお弁当の蓋を開けた。


「あれ? なんか違くね?」


『気のせいじゃない?』


「…なあ、こっち誰が作った?」


『お母さん。』


「そっちは?」


『……作るとは言ったけど、私が作るなんて言ってないし。』


「誰が作ったの?」


私の言い訳地味だ言葉を無視し、同じ質問をするアイツに正直に自分で作ったことを打ち明けると、無言で自分のお弁当と私のを交換した。


「どうせなら綾の食べたいじゃん。」


『不味いよ?』


「美味い不味いは関係ないって、綾が俺の為に作ってくれたって、事のが嬉しいし。
いただきます!」