私が水樹と出会った日から、少しずつ私の何かが変わり始めた。
葉瑠に水樹と出会ったキッカケを聞かれて、一気に蘇ったあの日の記憶。
葉瑠がいなかったら、実ることの無かったこの恋。


─保健室で1人、お弁当を食べてると、隙間程度ドアが開いた。
浦田っちかと思い待ってみたけど、それ以上は開くことはなくて…気になって開けると、誰かを担いだ男子生徒がいた。


「…いたんだ。」


それがアイツ、中村水樹と交わした最初の一言だった。
いつも両脇に女の子を連れ、女垂らしの噂があるアイツが私は嫌いだった。根拠もない噂を信じてしまうのもどうかと思うけど…
でも、今目の前にいるアイツは、私が知ってるヘラヘラした笑顔じゃなく、真剣な顔をしてた。
こんな表情できるんだ…そんな事を思いながら、無言で立ってた。


「ちょっと手かせ!」


『う、うん…』


背中でグッタリしてる男子生徒の顔は見えなかったけど、誰がみても苦しそうだって事は分かる。


「お前、こんな所で弁当食ってんのかよ」


浦田っちの机の上に乗る食べかけのお弁当を見て、アイツが言った。


『…関係ないでしょ。』


ベッドに寝かせるのを手伝ったあと、浦田っちを呼びに行った。