夜獣3-Sleeping Land-

上空から落ちてくるのは電線だ。

死ぬ覚悟はない。

なぜならば、僕は復讐を終えていない。

復讐を終えるまで生きる覚悟はあるが、死ぬ覚悟など持ってはいない。

僕は電線を掴んだ。

「死ぬつもり、ですか!?」

「僕は、死なない」

刹那、僕達の体には電流が駆け巡る。

人間では耐え切れないほどの。

電気が僕達の体を焼いた。

デザイアは僕の命を縮める力に集中していたために、電流に対しての切り替えが遅れた。

出来たとしても、ダメージは大きいはずだ。

何故、電線が落ちてきたのか。

それは、怪我と治療を中途半端に終えた孝二が銃で電線を切ったのだ。

石と僕が突っ込んだのはブラフだ。

孝二と協力するといった以上、奴が本当に役に立つほどの利用価値があるのか試す必要があった。

しかし、デザイアとの戦いによって、僕は大きな火傷を負い、感電してしまう。

動くことはおろか、立つことも出来ない。

デザイア自身も、苦しんでいるようだ。

「神崎はん!無事か!」

孝二が駆けつけてくる。

「あかん、こりゃ、不味い」

僕の怪我を見て言ったようにも思えたが、どうやら違うらしい。

周囲からは、石の兵が群れを作って、押し寄せてきている。

「く!」

銃で応戦する物の、数が多すぎる。