夜獣3-Sleeping Land-

デザイアも気付いているだろうから、遠距離攻撃は無意味だ。

「あら、まだ生きていたんですね」

「余計なお喋りなど必要はない。僕は、お前を殺しにきた」

「ふふ、ふふ」

何かおかしいらしく、笑う。

「あなたが、私を?不可能ですよ」

「だからどうした。僕の糧になってもらうぞ」

「理解をしないんですね」

「そんなものは、必要ない」

デザイアは紅い目でこちらを見ている。

「あなたは邪魔ですね」

速攻で勝負をかけるために、動いていないデザイアの位置関係を見定める。

そして、周囲の位置関係も頭に入れようとする。

しかし、次第にデザイアの周囲の白い空気が消え始めている。

「ち」

「どうかしましたか?」

僕の能力の事は分かっているとでもいうのか。

僕はデザイアに自分の事を話してはいない。

「さあ、能力を使いたければどうぞ」

拳を握り締める。

周囲には何もない。

デザイアに近づく事が危険である事は理解している。

渚の遠距離からの攻撃を支援させるにも、弓を持ってきていない。

そう、僕とデザイアの間には大きな差があった。

能力の差といってもいい。

デザイアにいかにして拳を叩き込むかによって、僕は成長をするだろう。

だが、拳を叩き込めないというのであれば、何かしらの道具を使うしかない。