夜獣3-Sleeping Land-

覚醒し、周囲の白い空気を確認する。

渚の腹を腕で巻き込み、白い空気のある部分を足で踏む。

空中に飛び上がり、家の屋根へと降りたった。

間もなく拳を握り、白い空気を殴りつける。

遠距離爆弾によって、石化した人間達を空気爆弾によって破壊する。

王以外は案外脆いようだ。

空気爆弾によって触れた石化した人間達は破砕した。

しかし、近づく事は許されない。

敵の攻撃方法が解らない限りは、近づけば死ぬ。

「今はデザイアを倒す事が先だ。周囲の様子を探れ」

「はい」

渚が目を閉じ、周囲の気配を感じ取ろうとする。

「西にいますね」

「行くぞ」

渚を抱えながら、屋根から屋根へと飛び移る。

下には石化人間の姿がチラホラと見える。

どれだけの人間が、石化したというのか。

世界は、確実に侵食され始めている。

だが、関係のない話だ。

世界が破滅的状況に陥ろうとも、乾だけは殺す。

歯軋りの音と共に見つけたのは、平然と歩いているデザイアの姿。

「渚、お前はここで様子を見ていろ」

渚を付近の屋根の上に置く。

「戦うのですね?」

「奴は、殺る」

漆黒の怨念を纏いながら、地上へと降り立つ。