夜獣3-Sleeping Land-

「これ以上、彼女を危険に巻き込むわけにはいかない」

相場は動こうとはしない。

予想は出来ていた。

僕は孝二の横を抜けて、外へと出る。

「勝算はあるんか?」

「必要ない」

「そんな考えじゃ、死ぬの分かってるやんけ」

「『奴』を殺すまでは、死なない」

「耕一さん!」

「渚、来い」

今の状況で渚を一人にさせておくのは危険だ。

相場がいるから安心などと安易な考えはしない。

僕の方が強いという確証はないが、能力の攻撃力は高い部類に入るだろう。

そして、敵は王と山女の二匹いる。

どちらかに狙われた場合、自分の身を守れるかどうかなど分かりきった答えが出る。

渚には利用価値はある。

だからこそ、まだ死なせるわけにもいかない。

「相場さん、その方の手当てをお願いします」

「渚、本当に行くのか?」

「すいません」

僕達は階段を下りて、道を歩いていく。

「デザイアの能力は何だ?」

「『減少』です」

「そうか」

攻撃力の減少。

防御力の減少。

生命力の減少。

用途は様々である。

相当な強さを秘めているといって良い。

これならば、王を倒す事も出来るだろう。