バイト先、今日もストーカー女の影は見当たらない。

無断欠勤だ。

どうでも良かったが、今までこんな事があっただろうか。

「今、親御さんが来た」

マネージャーが知らせを持ってくる。

「彼女は、行方不明になっているそうだ」

人と人との摩擦によって、行方不明になることもある。

どこかで事故が起こったとしても行方不明になる。

理由など無数にある。

僕は仕事を続けた。

ストーカー女が行方不明になった以外は何かが起こる様子はなかった。

八時間過ぎたところでバイトを終え、家に帰ろうとする。

店の中でコーヒーを飲んでいたのは最近、遭遇する男だ。

「兄さん、奇遇やな」

僕は男を無視して店から出ようとする。

「まちいな。俺等は別に渚さんに危害は加えへん」

「闘うのなら、今すぐ倒す」

「そう焦りなさんなって。ちゃんと相手する奴はおるねん」

「何?」

男は呼び出しボタンを押す。

顔見知りの店員がテーブルへとやってきた。

「コーヒー追加で。まあ、立ち話もなんや、座りや」

「さっさと話を進めろ」

僕は椅子に座る。

「せっかちやなあ。実はな、異星人が地球にきとんねん」

「お前の傍にもいる」

「ちゃうちゃう、山女さんとは別や。山女さんは異星人の破壊に来たんや」

破壊という事は、敵である事は間違いない。