「耕一さん」

横になった渚が僕を見ている。

「まだ、寝ていないのか」

僕も明日の事を考えながら起きていた。

「その、久々に」

ナイフを突きつけられた過去を思い出す。

だが、今の渚は何も持っている気配はない。

体調を万全にというわりには、自分の性欲には従うか。

心配しているのかどうか、解らない女だ。

「いいだろう」

僕は渚の髪を撫でる。

「やっぱり、耕一さんが傍にいてくれると安心します」

渚は僕の唇に唇を合わせる。

流れのままに、僕達は交わった。

何故、僕なのか。

理由が解らない。

協力するというのなら、僕はそれでいい。

そういう理由で、渚が僕と共に行動するという理由を見ないようにしていた。

僕にこだわる理由があるとすれば、渚の過去にあるはずだ。

能力者だという理由でなら、他でいい。

容姿という理由であれば、これも他でいい。

性格という理由は論外だ。

渚。

お前は何を隠している?