だが、能力が精神系だとすれば厄介だ。

時間をかければやられる。

一撃で仕留めるしかない。

しかし、男は紅眼にはならない。

取り出したのは、銃だ。

「不用意に、近づかせへんで」

銃口をこちらにむけて、ビームを放つ。

しかし、放つ寸前に拳で空気を爆発させた。

タイミングを計ったところで、攻撃が相殺する。

「生身やのに、凄いな」

しかし、今の一撃を放ったところで茶髪の男は距離を開けている。

「渚ちゃん、あんさんは忘れてるかもしれんけど、先代を裏切った事は今でも伝わってきてるねん」

捨て台詞を吐いて、去っていった。

「先代、だと?」

僕は動く事を忘れ、止まっていた。

渚と何か関係があるというのか。

渚を見ると、驚いているようだ。

確実に何かを知っている。

「家に帰ってから、話してもらうぞ」

「はい」

渚は、僕の腕の裾を掴んでいた。

家に帰り、渚から事情を聞くととなる。

「彼が言っていた事は事実です」

僕と渚は向かい合ったまま、話が始まった。

「そうか」

「今から三百年ほど前の話です。私は彼等の祖先である人物と婚約していました。ですが、私は、ある人物と駆け落ちしてしまったんです」

「何故だ?」

「彼等の祖先である彼は嫌いではありませんでした。でも、私は、彼の熱心さに負けてしまったんです。だから、彼等から恨まれても仕方ありません」