二度目の風呂。

別段、欲しい物がなく、バイト生活だとしても金に余裕はある。

番台は猫を膝に乗せた娘に代わっていた。

見覚えがあるかと思えば、ストーカー女だ。

「あ、先輩、どーもー」

答える事無く、二人分の小銭を置いて中へと入る。

「これが、先輩の握った小銭」

後ろで聞きたくない言葉をスルーしながら、服を脱いでさっさと風呂に入った。

今朝よりは人がいるようだ。

看板娘といえるストーカー娘の効果だろうか。

風呂に入れるのなら、どうでもいい事だ。

「ふう」

乾を見つける事は確実だ。

今の街にはどれほどの能力者が存在するのか。

強ければ強いほど、僕も戦いに慣れる事が出来る。

ふと、思う。

渚が他の星から来たというのなら、再び他の星から来る事はないのか。

可能性としてはある。

偶然は必然だとも言う。

渚が消えてから、何年経ったと思っている。

UFOと思われる影も認識されるほどの世界だ。

「なあ、兄さん、偉いべっぴんさん連れてきとったな」

気配を感じさせず、傍にいるのは茶髪の男だ。

「何か用か?」

「いや、自分も肖りたいな思ってな」

「失せろ」

休む時ぐらいは休まなければならない。

「そな殺生なあ。ええやんええやん。名前くらい教えてくれても」

「うっとうしいぞ」

「名前教えてくれな、付きまとうでえ」

「本人に聞け」

「はーん、しゃあない。そうするか」

男は風呂から出て、体を洗い始めた。

僕もしばらくしてから、体を洗い風呂から出る。