部屋に招き入れると、渚は驚いたような顔をしている。

「何かあるのか?」

「あ、いえ、耕一さん、凄く頑張っていらっしゃるものだと思いまして」

「お前の家に比べれば、どうという事はない。それに、お前も一からやってきたのだろう」

「私は、常に誰かの力を、借りてきましたから」

「それも、お前の実力だろう」

僕は部屋の中に座った。

「座れ」

「あ、はい」

ブーツを脱いで、部屋の中へと上がる。

渚は斜め前に座る。

「あの、耕一さん」

「何だ?」

「誠に、申し訳ありませんでした」

急に頭を下げる。

理由は、何となく察しがつく。

「相場さんから全てを伺いました」

「そうか」

「耕一さんや、他の方に迷惑をかけてしまいまして、私のミスで耕一さんに余計な時間を使わせた事が、申し訳なくて」

「本来ならば、僕は裁かれてもおかしくはない。何もかもが自分の責任だと思い込むな。解ったな?」

「はい」

しかし、晴れてはいない。

「調子は取り戻したか?」

「はい、耕一さんや松任谷さんのおかげで、少し時間はかかりましたが色々と取り戻せました」

「ならいい」

しかし、一人でいた空間だと広く感じたが、二人だと少し狭く感じる。

珍しいものだ。