「先のこと、か」

どうすればいいのか。

今のままでは埒が明かないのは明白だ。

地元に戻るか。

地元に戻ってどうする?

再び、渚と共に過ごすのか。

外に出ないわけにもいかないのだから、情報が出回らないわけでもないだろう。

「何故、怯えている?」

血を与えるという条件さえ封じる事が出来れば、僕のものだ。

「だが」

松任谷が渚を助けたのは、事実。

あの時、僕が渚を救って欲しいと思ったのも、事実。

時間が経てば経つほどに、隠していた物も見えてくる。

見えてはならないと思い込んでいた自分の意思に反すると、意固地になっていただけだ。

嫌でも雲は晴れる。

半年で、雲の間から、少なからずとも光は射した。

「だが」

渚とは別の事で、目的は変わらない。

それだけは、誰にも止められない。

「ならば、どうする?」

周辺を探索してみるのも、悪くはない。

地元であっても見つかるとは限らないのだから、探す事を怠っていては永遠に見つかる事はない。

目的を達成させるには、地道な要素も必要なのだ。

僕は、今日買っておいたペットボトルの水を飲む。

乾いた体は癒される。

だが、乾いた心まで、水は癒してはくれない。

「やるしかない」

明日は休みだ。