地方に移り、半年。

アルバイトをしながら、僕は過ごしていた。

鍛錬をする暇もなく、生きる事で精一杯の日々が続く。

住み込みのバイトを見つけ、地道に金を稼いで生きてきた。

しばらくして金が溜まり、アパートにて一人暮らしをする事となった。

決して、広くはない。

畳で出来た五畳の一室。

飾りがあるわけでもなく、部屋には窓とキッチン、キッチンの隣には木製の玄関。

以前のように飯が用意されているわけでもなく、ベッドもあるわけでもない。

最低限の生活だけだ。

しかし、雨を凌げる事が出来れば十分だ。

正直、無駄な時間を過ごしているといっていい。

だが、無駄な時間を過ごさなければ、復讐は出来ない。

今日もファミレスのバイトを終了し、部屋へと帰る。

壁に背をもたれ、何を考えるわけでもなく着座。

冬風のせいか、窓が揺れる。

そして、壁の薄さのおかげで、隣から声が聞こえてくる。

男女で交わっている。

騒音だろうが、関係の無い事には関わらない。

僕は目を閉じ、復讐に思いを馳せる。

いつになったら、乾が見つかるのか。

地元から遠のいてから、さらに道が閉ざされているような気がする。

果たして、目処が付く事があるのか?

今のまま、普通の生活を送ったまま終わりを告げてしまうのではないか?

あの時、家から動かなければ何か変わったか?

動かなかった場合の事を考えると、松任谷の能力の的にされていた可能性がある。

何度となく考えていた事だ。

もはや、考える事が無意味で、自分のやる気を殺ぐだけだ。

今は、状況を一点させる先の事をかんがえなければならない。