男は答えない。

「そうか」

拳を握り締めると、震えだした。

「こ、殺さないで」

「言え」

「俺は、何も知らない、気付いた時には、女を犯していて」

「お前達は自分の意思ではしていなかったという事か?」

「話したから、許して!」

自分の意思ではないとすれば、操られていたとでもいうのか?

だが、気付いた時には犯していたという事は、止める事も出来た。

続けたのは、男達の意思という事になる。

「きっかけが何であれ、お前達は続けた。誘惑に負けただけだ」

男の襟首を離し、部屋から出て行く。

玄関を出ると、風が吹く。

「風が強い」

行く手を阻むような風。

答えまではまだ遠い。

きっかけを作ったのは誰なのか?

単なる催眠術なのか、それとも、能力者の仕業なのか。

男達は催眠術に興味を持つような輩か?

途中、犯す事を楽しむと決めた男もいる。

わざと途中で催眠術が切れるように設定したのだろうか。

集団催眠術をかけられるほどの力の持ち主。

「精神面での攻撃か」

肉体で闘うのとは違い、やり方を変えなければならない。