夜獣3-Sleeping Land-

だが、今の何もない状態での探索は時間の無駄だ。

気配察知が出来るといったとしても、それは渚に対してのみだ。

無駄にしてきた年数が語られる物は、近道をしようとすればするほど遠い道になる。

ならば、一番の近道というのは、気配察知が出来る原点を傍に置くという事だ。

渚の気配が分かるというのなら、一つの方法がある。

これで出来なければ他の知っている奴に情報を聞くだけだ。

僕は渚の気配をたどる。

何年経っていたとしても渚の欠片が僕の世界にあるというのなら、あの女の気配を見失わない。

「やはりな」

僕が去ろうとしていた町に、それはある。

決して、色褪せてはいない。

振り向き、病院を見上げる。

「お前は人の世界で生きろ」

それだけを呟き、病院から遠ざかっていく。

過去の道を歩き続ける。

「あなたが、この町に戻ってきたから」

目的地にたどり着こうとしたところで、車の通りが少ない道路の真ん中に制服姿の女が立っている。

能力者である松任谷真理だ。

「邪魔だ、どけ」

「戻ってこなければ、桜子は怪我しませんでした」

うつむきながら、呟く。

「お前が桜子に対して、どう思おうが僕には関係ない」

顔を上げた松任谷の瞳が僕に対して、怒りを抱いている。

「あなたは約束を破りましたね」

「今、僕の邪魔をするというのなら、お前を糧にする」

拳を握り締める。

「あなたは、最初から邪魔だったんですよ」