夜獣3-Sleeping Land-

桜子の姿を見て、看護婦が駆けつけてくる。

「頼む」

看護婦に任せると、桜子は手術室に運ばれていった。

色々と調べられる前に、僕は病院を後にする。

外の景色は変わらない。

事件の起きた場所でなければ、時間も、空間も、何もかもが平常だ。

「これが現実か」

乾に到達できたはずなのに、僕は、しなかった。

あの時、桜子が事故にあわなければ?

止めろ。

仮定の話は時間の無駄だ。

あの時、攻撃しなかったのは僕が全てを捨て切れなかった証拠だ。

考えが甘かったんだ。

乾は上手く取捨選択をしたといっていい。

自分の研究にだけに目を置いている。

「くそ」

力があっても、使わなければいけないところで使えていない。

なんて意味のない力だ。

地面に拳を叩きつける。

「違う」

奴のたわごとなど聞く耳を持つなど愚の骨頂だ。

何故、僕が奴のいう事など聞かなければならない。

可能性の否定など、奴の妄想だ。

誰が終わったと言った?

誰が奴は死んだといった?

奴はまだ生きている。

僕の復讐は始まってもいないし、終わってもいない。

「生きているなら、あの世に送るだけだ」

来世なぞ、くれてはやらん。

奴だけは、地獄に送る。