夜獣3-Sleeping Land-

能力を付加した拳を地面へと叩きつける。

「うおああああああ!くそ!くそ!くそおおおおお!」

また、奴を見逃せというのか。

それが、奴のやり口だというのか。

自分に危害を加える者を、遠隔操作で殺しにかかる。

それが、一ミリの可能性だったとしても。

「桜子」

奴に対しての思考を一旦停止し、桜子を探す。

周囲の人間が騒いでいるが、関係ない。

「桜子ぉぉぉ!」

大きく叫ぶ。

僕は周囲を見渡す。

もう、帰ったのか?

巻き込まれずに、もう家に帰ったのか。

それならそれでいい。

少し離れたところで、倒れている人物がいる。

結構な量の血を流している。

僕は、あの服を覚えている。

先ほどまで見ていた服だ。

今は、赤く染まっている。

僕は急いで、倒れている人物にかけよった。

その人物を抱きかかえる。

「う」

まだ息がある。

このまま救急車を呼んでいては、間に合わない。

能力を覚醒させる。

「夕子、僕は、僕は!」

白い空気を足で蹴りながら、爆発させて前へ進んでいく。