夜獣3-Sleeping Land-

駅のホームに下りたところ、大きな音がホームの外側から響き渡る。

「駅前か?」

先ほど、桜子と分かれたばかりだ。

僕は言い知れない不安に襲われる。

僕はきびすを返し、元いた場所に戻り改札口を出た。

そこには、車の事故が起きていた。

僕は周囲を見渡す。

足を進め、生存者の中に桜子の姿があるか探す。

「生きていろ」

自動車は壁にぶつかり、破損している。

「こ、れ、は」

車の中を除けばそこには人の原型を留めていない肉の塊。

そして、血の海。

僕の中で蘇る記憶。

「はは、はははははは!」

湧き上がる怒りを抑える事が出来ない。

「ヤツ、ヤツ、ヤツ、ヤツゥ!奴がやったのか!」

拳を握り締める。

周囲を見渡すが、どこにも姿がいない。

奴は、人間を時限爆弾として操作した。

近くにいたとしても、姿を見せないだろう。

冷静さは欠いている。

今すぐにでも、奴を探さなければならない。

足を進めようとした。

ふと、車の事故で怪我人の姿が目にはいる。

本当に、それで、いいのか?

僕は、さっきまで何をしようとしていた?

僕の脳裏には、夕子に似た笑顔を持った桜子を思い出す。

「さくら、子」

僕は、奴を探すための足を止めた。