紅葉が目立つ秋の正午。

街中を歩いていると、十メートル以上はある雑居ビルの屋上から何かが落下してくる。

地面に激突すると、鈍くて嫌な音を立てる。

それは、人だ。

時間が経つ間もなく、全身から血が広がっていく。

短髪でガタイの大きさから、男だと識別出来た。

それ以外は、何も知らない。

周囲の人間は「死」に対して騒ぎ始め、警察か病院に電話をかけるために携帯電話を取り出す。

何をするでもなく、男が落下してきた場所を見上げる。

屋上には誰の姿もない。

男は自殺だったのかもしれない。

一つだけ言える事がある。

「関係ない」