「で、あんたは男を泣かせて家に帰ったってわけ?」

不満そうな仕草を見せる美由紀。

何が不満なのだろうか。

「不満よ不満!!」

やばっ!!
考えてたことバレてる!?

「男と女が出逢ったらやることは一つでしょう!!」

やる事ってナンデスカ?

分からず頭を捻っていると美由紀が呆れたように溜め息を漏らした。

「あんたねぇ…どんだけ鈍感なんだか…で、そいつはどんな奴なの?」

「そうだなぁ、うちのクラスで例えるなら」

指さそうと腕を上げた瞬間。
見覚えのある姿が目の前を横切った。

「あ」

「え?」

二人とも一言発したまま固まる。

あれ?
見たこと有るよこの人。

確か…この前あの夜に…。

「ああああああ!!!」

何時の間にか声を上げていた。

「どうしたのよ!?」

驚きを隠せずに戸惑う美由紀。
いや、だって…私の首に傷のこしたのコイツなんだもの!!

「昨日のはコイツなのよ!!」

特に特徴的の顔ではなく比較的平凡な顔。

そっちの方が逆に覚えやすいんだよね。

「いや、あんたの指差してんの今日転校してきたアルビオン・ルード・マクロー君だから」