「海、行きたいなー」


帰りの電車の中。

あたしは、宣伝広告に目を奪われて……。 そう呟いた。


「はぁ!? 海だ? お前、自分が“受験生”って自覚あるのか?」


隣に座るいっくんからの痛ーいお言葉をいただいた。


別に“海に行きたい”って思うくらいは自由だ!

どーせ、実際に行けるなんて思っていないし……。



「じゃあ、いっくん。 今年もお祭りに一緒に行こうよ」


「少しは“受験生”って自覚を持てよ……」


あまりにもあたしが“受験生”らしからぬ言葉ばかり言うせいか、いっくんが頭を抱える。

でも、こんなことはいつものこと。

いっくんを悩ますのは、あたしの得意技。


でも、それから数週間後……。

チャンスはやってきた。