最初から“叶わない―――” そう、分かっていた恋だった。


その恋のタイムリミットが近付いているのに、俺はどこか――― 清々しい。


それは、やはり―――。

夏の空、のおかげだろうか?


ゆっくり揺れて、学校に向かうバス。


バスケに恋するまでの、ほんの数時間。

今の恋の疲れを取ろう。

全力で、バスケに恋するためにエネルギーを溜めておこう。


そっと、瞳を閉じた。



今だけは言わせてください。


好きです、木下先輩―――。

そして、ずっと前田先輩は、俺の憧れです。






片想い部員の、ムネのウチ。


-- fin.